貴乃花部屋の力士たちは今どこへ?激動の解散劇と弟子たちの現在地
2018年秋、平成の大横綱・貴乃花親方(第65代横綱)の電撃的な日本相撲協会退職と、それに伴う「貴乃花部屋の消滅」は、角界のみならず社会全体に強烈な衝撃を与えました。師匠が突然土俵を去るという前代未聞の事態の中、部屋に残された弟子たちは千賀ノ浦部屋への移籍を余儀なくされ、激動の運命に翻弄されることになります。
騒動から月日が流れた現在、貴乃花部屋の遺伝子を受け継いだ力士たちはどのような道を歩んでいるのでしょうか。大関として平成・令和の土俵を牽引した貴景勝をはじめ、角界を去り新たな舞台へ挑んだ者、土俵で奮闘を続ける者まで、弟子たちの知られざる軌跡と現在地を余すところなく追跡します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:2018年10月の部屋消滅に伴い、貴景勝や貴ノ岩ら所属力士8名全員が千賀ノ浦部屋(現・常盤山部屋)へ一括移籍した。
- 要点2:部屋の看板力士だった貴景勝は大関昇進と4度の幕内最高優勝を果たし、引退後は年寄「湊川」として後進の育成に注力している。
- 要点3:角界を去った元弟子たちの中には格闘技界へ転向した者や実業家へ転身した者もおり、それぞれのセカンドキャリアを歩んでいる。
【部屋消滅の深層】貴乃花親方の退職経緯と日本相撲協会との確執

貴乃花部屋が消滅に至った背景には、師匠である貴乃花親方と日本相撲協会執行部との間に生じた決定的な亀裂があります。発端となったのは2017年10月、鳥取巡業中に発生した元横綱・日馬富士による貴ノ岩への傷害事件でした。弟子の被害を重く見た貴乃花親方は、協会への報告に先立って警察へ被害届を提出。協会の危機管理体制やガバナンスを厳しく批判し、全面対決の姿勢を鮮明にしました。
2018年3月には内閣府へ告発状を提出したものの、直後に弟子の不祥事などを受けて告発を取り下げ、親方職としての階級も最下位の「年寄」へと降格処分を受けます。そして同年9月25日、貴乃花親方は緊急記者会見を開き、日本相撲協会へ退職届を提出しました。会見で親方は「告発状の内容を事実無根と認めなければ一門に属させず、部屋の存続を認めないという有形無形の圧力を受けた」と主張。一方の協会側は圧力を否定したものの、師弟関係の断絶を避けるため、親方は自ら身を引く形で部屋の幕を引きました。
【相撲界を揺るがした騒動】貴ノ岩事件の真相と弟子たちを襲った苦難

角界の勢力図を根底から揺るがした「貴ノ岩事件」は、単なる力士同士のトラブルにとどまらず、相撲界の旧弊と近代的なコンプライアンス意識の衝突という深いテーマを浮き彫りにしました。事件の真相をめぐっては、モンゴル出身力士の懇親会での説教が発端とされ、ビール瓶や素手による激しい暴行が行われた事実が捜査によって明らかになりました。
しかし、被害者側であった貴乃花部屋の力士たちが置かれた環境は過酷を極めました。稽古場周辺には連日多くの報道陣が押し寄せ、本場所中も異様な緊張感の中で土俵に上がり続けなければならなかったのです。部屋の孤立化が進む中、若き弟子たちは精神的なプレッシャーと戦いながら稽古に励む日々を強いられました。
【移籍劇の全貌】千賀ノ浦部屋への一括移籍と受け入れ側の舞台裏

貴乃花親方の退職に伴い、最も懸念されたのが所属力士たちの処遇でした。日本相撲協会の規定上、力士は必ずいずれかの部屋に所属しなければ本場所へ出場できません。2018年10月1日、日本相撲協会の理事会において、貴乃花部屋に所属していた力士8名、床山1名、世話人1名の計10名全員が、同じ旧貴乃花一門の千賀ノ浦部屋(師匠は元関脇・舛田山)へ一括移籍することが承認されました。
突然の大所帯受け入れとなった千賀ノ浦部屋では、宿舎の増改築や稽古場の割り振りなど生活環境の再編が急務となりました。それでも千賀ノ浦親方は「弟子たちに罪はない。しっかり預かって土俵に集中させる」と温かく迎え入れました。その後、名跡変更に伴い部屋は「常盤山部屋」(元小結・隆三杉が継承)へと看板を変え、移籍力士たちの新たな拠点となっていきました。
【弟子たちのその後】大関・貴景勝の栄光と引退から格闘技転向組の現在
激動の移籍劇を経て、弟子たちはそれぞれの相撲人生で異なるドラマを描くことになります。移籍直後から目覚ましい躍進を遂げたのが貴景勝です。移籍からわずか1か月後の2018年11月場所で幕内初優勝を飾り、師匠の騒動で沈んでいた空気を実力で吹き飛ばしました。翌2019年春場所後には大関へと昇進。突き押し一本の愚直な相撲で通算4度の幕内最高優勝を記録し、看板大関として土俵を牽引しました。満身創痍となりながら戦い抜いた貴景勝は2024年秋に現役を引退し、現在は年寄「湊川」を襲名して常盤山部屋付き親方として後進の指導にあたっています。
一方、騒動の中心にいた貴ノ岩は、千賀ノ浦部屋移籍後の2018年冬巡業中、自身の付け人に対する暴力行為が発覚。責任を取る形で同年12月に電撃引退を表明し、土俵を去りました。現在は母国モンゴルへ戻り、実業家として新たな生活を築いています。
また、将来を嘱望された大型ツインズ力士の明暗も大きく分かれました。兄の貴公俊(のち貴ノ富士)は付け人への暴力問題により相撲協会から引退勧告を受け、2019年に角界を去った後、総合格闘技(MMA)や各種格闘技イベントへ参戦。弟の貴源治も幕内まで番付を上げ将来を期待されましたが、2021年に大麻使用が判明し懲戒解雇処分となりました。彼もまた格闘技界へ身を投じ、土俵とは異なるリングで戦い続けています。
【元貴乃花部屋力士一覧】角界に残る者と去った者の現在ステータス
貴乃花部屋の消滅時に所属していた主な力士たちの足跡と現在の状況を整理すると、彼らが歩んだ道のりの険しさが浮き彫りになります。
◆ 元貴乃花部屋所属力士の主な現況一覧
・貴景勝 光信:大関昇進・幕内優勝4回。2024年秋場所で現役引退。年寄「湊川」として常盤山部屋で指導中。
・貴ノ岩 義司:最高位前頭2枚目。2018年12月に現役引退。モンゴルにて実業家へ転身。
・貴公俊 剛(貴ノ富士):最高位十両5枚目。2019年10月に引退。総合格闘家として活動。
・貴源治 賢士:最高位前頭10枚目。2021年7月に懲戒解雇。格闘技界へ進出。
・貴健斗 輝道:熊本県出身。千賀ノ浦・常盤山部屋へ移籍後、2021年初場所で新十両へ昇進。関取として土俵を守り続ける。
・貴大将・貴勇人・貴正樹:部屋消滅後、移籍先でそれぞれの節目を迎えて土俵を去り、第二の人生をスタート。
同時代に角界を沸かせた元小結・常幸龍のように怪我と戦いながら土俵を全うした力士たちと同様、元貴乃花部屋の力士たちもまた、それぞれが背負った重い宿命と向き合いながら人生の勝負を続けています。
【貴乃花部屋の力士】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:貴乃花部屋が消滅した決定的な理由は何ですか?
A1:2017年の貴ノ岩傷害事件を機に日本相撲協会執行部との対立が深まり、貴乃花親方が協会の改革姿勢や一門所属の義務化方針に反発して退職届を提出したためです。師匠の退職に伴い部屋は存続不可となり、2018年10月に事実上の解散・消滅となりました。
Q2:看板力士だった貴景勝は現在どのような活動をしていますか?
A2:貴景勝は千賀ノ浦部屋(現・常盤山部屋)への移籍後に大関へ昇進し、幕内最高優勝4回を果たすなど大活躍しました。首や膝の負傷により2024年9月に現役を引退し、現在は年寄「湊川」を襲名して常盤山部屋で若手力士の育成・指導にあたっています。
Q3:退職した貴乃花光司氏と弟子たちの現在の関係はどうなっていますか?
A3:相撲協会の規定上、退職した元親方が協会の運営や部屋の指導に直接関与することはできません。貴乃花氏は一般社団法人を通じた少年少女への相撲普及やメディア出演を行っており、弟子たちとは公式な師弟関係を離れたものの、元弟子たちの活躍を陰ながら見守る立場をとっています。
まとめ:貴乃花イズムの継承と弟子たちが切り拓く未来
激動の解散劇から年月が経過した今もなお、貴乃花部屋が角界に残した足跡は色褪せていません。「妥協なき稽古」「小細工なしの真っ向勝負」という貴乃花親方の教えは、貴景勝の突き押し相撲を通じて令和の大相撲界に強い存在感を刻み込みました。
部屋の消滅という未曾有の荒波に呑まれながらも、土俵の上で頂点を目指した者、不祥事や挫折を乗り越えて新たなリングへ活路を見出した者、そして指導者として相撲界の未来を担う者など、弟子たちの生き様は多様です。貴乃花部屋という特別な環境で育った力士たちが、それぞれの場所で切り拓くこれからの挑戦に引き続き熱い視線が注がれています。 (出典: 貴乃花 部屋 の 力士(Yahoo!ニュース))